このサペリという木は、これまで何本も製作してきて楽器材としてとても優秀だと肌で感じています。アコースティックギターではテイラーやK・ヤイリで昔からよく使われていますがウクレレではあまり馴染みのない木ですよね。昨日西野さんにホンマホとサペリとアフリカンマホを目の前で比較して頂いたんですが職人でもなければ見分けが付かないほど似てます。アフリカンマホは剛直で導管が目立つのでわかるんですがシルキーなホンマホとサペリはそっくりです。音質的にはアフリカンがバっと分かりやすい音の塊が出てくるのに対しサペリとホンマホは上品なキラキラした音。硬さはサペリがシルキーで中庸、ホンマホはガラス質な柔らかさ(ちょっと矛盾してますが)。ここに表板をどうミックスするか、ブリッジプレートをどんな厚みでどんなサイズ、位置で合わせるか、ブレイスの噛み合わせ方をがっちりするのか、はたまた宙ぶらりんにするのかで全体像を作っていきます。ともあれ出発点は素材が最も重要なのは間違いないので器(サイドバック)にサペリを持ってくるってのは僕の中では最近かなり粋なチョイスなんです。3本ともサラッとした弾き味に艶のあるサウンド、十分な音量に仕上がってくれました。
360mm soprano middle model
top シトカスプルース
side/back サペリ
neck アフリカンマホガニー
finger.b マッカーサーエボニー
bridge エボニー
strings Martin M600
peg UPT
ある意味、これまで作ってきた中で一番思い入れのあるボディがこのType2です。ご存知の方もみえるかもしれませんがこちらは旧スタイル7からそのまま流用しているボデイ。ホールドバランス、全音域に凹凸なく良く鳴ってくれるとっても楽しいヤツなんです。製作総数300本(アマ時代を含めると400))の中でこのボディを一番作ってきたと思います。ずっと同じじゃなくて色んなことを学ばせてもらったボディで、最初の頃の無邪気な作りからはかなり質も上がったと思います。使う材、細かなパーツ、作り方まで端から端まで神経を行き渡らせて丁寧に作ることが大事なんだとこのボディは教えてくれました。理想的な八の字シェイプ、大きすぎず小さくないボディ容積ゆえにイメージとは違うサウンドになったらそれは作っていく過程のどこかに問題があると思ってそれを一個ずつ洗い出してはリトライの繰り返しでちょっとずつマトモなウクレレが作れるようになってきました。ほんとこのボディにはたくさんのことを勉強させてもらって、このアベレージボディを土台にして一回り小さいモデル、大きいモデルを作り上げていったんです。3タイプの大元が実はこのタイプ2です。
381mm concert model
top シトカスプルース
side/back サペリ
neck アフリカンマホガニー
finger.b カメルーンエボニー
bridge エボニー
strings Martin M600
peg UPT
今回の3本の中で最もリッチなサウンドはこれです。生音でカフェライブなんかしたら最高なんじゃないでしょうか。シトカスプルースの遠達性、サペリの上品なキラキラ感、安定した弾き心地。どれをとっても合格点です。モノトーンストライプの飾りって素朴な気品が漂いますよね。パーツ屋さんに端から白黒モノトーンに組んであるプラ製のものもありますが、うちのモノトーンストライプはメイプルの染め木を合計9本掌で束ねて自作して曲げて嵌め込んだパフリング飾りです。コンマ5ミリの折れやすいメイプルを9本左手に束ねつつタイトボンドで貼り合わせていく作業はははっきり言ってどのモデルよりも大変です。油断すると括れの箇所で変に接触してやり直しになります。でもボディ全部を木で、この手で作り上げるから面白いんです。
392mm concert middle model
top シトカスプルース
side/back サペリ
neck アフリカンマホガニー
finger.b カメルーンエボニー
bridge エボニー
strings Martin M600
peg UPT