
バインディング溝加工の様子

トリマーで掘った溝をヤスリで仕上げる

パフリング(バインディング内側の飾り)溝加工

今回のロットはローズサイドバック多めです。でもオーダーによってそれぞれバインディング材は異なります。真ん中で継いでいくのでボディ一台につき表裏で4本のバインディング材が必要です。画像左から栃、ハワイアンコア、マッカーサーエボニー、虎杢入りメイプル。ウッドバインディングは材ごとに加工の難易度が多少変わってきます。この四つで素直で曲げやすい順に言うとメイプル、栃、コア、エボニー。メイプルと栃についてはあっさり曲がるので十分程度で終わりますが硬くて曲げにくいエボニーや割れやすい虎杢コアバインディングなどは倍の時間がかかります。バインディングは木の持つ色味で選ぶ楽しさがあります。

こんな感じで手曲げです。ベンディングジグでいっぺんに曲げる人もいますがかかる時間はそこまで変わらないので手曲げで十分です。

コアバインディングを曲げ終えていざ接着

三寒四温とは言いますが四月の気温湿度の振れ幅はとっても大きいです。24日の午後四時時点で撮影した画像です。室温30度、湿度は29%。雨が降った22日は朝の気温が8度でずっと雨が降って午後の湿度は80%。初夏と晩冬の気候が日替わりでやってくるので人も楽器の木材もあたふたします。春だど言って外でウクレレ弾く際にも晴れた日の午後はかなり乾燥するのでブリッジ剥がれなどのトラブルに注意が必要になります。ぜひ、頭の片隅に入れておいて下さい。

コアバインディングの接着、木地研磨まで終わってあとはネックジョイントポケット加工のところまできました。が、しかし。残念ながらこのシダーローズソプラノはどうしても納得いかない部分が。一旦バラして表板をやり直す必要があるので次ロットで仕上げ直すことにしました。こんなこともたまにあります。いくら経験則や一般論があっても生楽器なので組み立ててみないと実際分からない。今回はおそらくプレートが良くなかった。これじゃ世間に出せない。先方様に事情を説明して納期の相談をさせて頂こうと思います。ほんと申し訳ないです。
あとがき
工房の小手毬が今年も満開になりました。年々満開の時期が早まってます。13年前の写真ではゴールデンウィーク後半に満開になっていました。ここ数年はGW直前に満開になっていて以前より明らかに一週間ちょっと早まってます。やっぱりあれの影響なんですかね。トランプ大統領はあれは迷信だと言い張ってますが 笑

今週も一台ロットから脱落した以外は予定通り進みました。まあそんなことはよくある。来週はネック、指板加工です。同時に進める本数が多いと集中力が入りますね。この仕事はマラソンに似てると感じる時があります。今日は調子いいぞと息巻いて深夜まで作業しても次の朝が遅くなってしまったり、段取りに無理が生じたり。起床時間、就寝時間、休日を一定にして淡々と同じペースで無理なく進めていくのが長続きの秘訣…あ、なんでもそうか。もう時期また酷暑がやってきますね。皆様、ご自愛ください。
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道越大輔 (火曜日, 29 4月 2025 09:27)
坂井様
シダーローズソプラノの件。正に正しいご対応と感服します。
高い水準を持って製作されてるからこそ、その空気感がウクレレやその写真から私たちが感じ取れていると思います。
信頼してお仕事を頼むことができる。
私も若い頃、仕事の先輩からこの思想を叩き込まれたはず・・。何日も徹夜してお客さんのために図面を描き直すような日々だったはず。
そのことを歳を重ねていつのまにか社会の歯車の中でいかに上手くこなすか?を重視してしまっていたような。
本質を忘れないようにしよう。
坂井 (水曜日, 30 4月 2025 07:49)
道越様
あまり理想に拘りすぎないようには気をつけているんですが今回はレッドラインを超えた硬い箱鳴りでした。多分このままネックをつけて仕上げても売り物にならないと判断して次ロット送りとしました。おっしゃる通り、「お客さんのため」に仕事をしているのはきっとどんな商売でも同じですね。私も相手がいることを常に忘れずに作業を進めたいと思います。
道越 大輔 (水曜日, 30 4月 2025 23:21)
坂井様
前の文章「お客さんのため」という言葉をあまり意識せず書いてました・・・(笑)
坂井さんのおっしゃる「硬い箱鳴り」のイメージができないのですが、、、そう思うと同時に、ネック取付け前にボディの段階で箱鳴りチェックをされるんだ!と知り。
それって太鼓みたいにたたくのかなーと想像しましたね。
いろいろと新たな世界で言葉ひとつひとつが想像があって楽しいです。
今、GWにもかかわらず、休み無く仕事で、ウクレレ弾けない日々。夜中にウクレレ抱えてテーブルでウトウト。ハッと目覚めて弾く時は爪を当てず指の腹で小さな音で。これではよろしく無い。
「マーク・ザッカーバーグ」の史上最速の仕事術という本を読んでみたりして。生活を改善だ。
坂井 (木曜日, 01 5月 2025 13:34)
道越様
僕の造語ですが「硬い箱鳴り」はソプラノ製作において一番そうなってほしくない状態です。理想は箱のブリッジあたりを叩いた時にコンコンした音じゃなくてポンっポンっとしたレスポンスが帰ってくることで今回は修正の効かないレベルの硬さになってしまいました。GW仕事ですか…せめて少しの時間だけでもリラックスしてウクレレ弾ける時間があるといいですね。史上最速の仕事術を体得して隙間時間を量産していきましょう!