
今週は仕上げ作業に没頭致しました。
今回作ったタイプ3は少しだけボトムをタイトに、つまり幅を狭めました。狙いは3弦よりも1弦の音の出方を強調させることです…。
タイプ1、タイプ2はソプラノ寄りのこぢんまりとしたあったかい音でウクレレらしいコロコロとした鳴り方になる傾向の強いシェイプ。対してタイプ3は一回り大きなボディ、ラウドな出音で大柄な印象に。今回はシェイプを若干絞ったことで横に広がっていた音が真っ直ぐ前に向かって出てくる印象になりました(あくまで主観ですが)。低音が幅方向に広がるのを少しだけ矯正した結果、より弾き手の耳元近くに音の塊を感じられるようになったのではないかと思います(あくまで主観ですょ)。こういう試験的なことをやるとちょっと矛盾するけどウクレレを作る秘訣は「あまり考えすぎないこと」だったりするのかな…なんて元も子もないような思いも錯綜したりして 笑
何がともあれ、また一つ知見は増えました。
新作紹介
✴︎まだありますがここまでに仕上げたウクレレをご紹介します。
#367 QV392RI/Type3
rosetta type /QV
scale /392mm 19fret end
puff ring type /R(Rope)
binding type /I(Indian Rosewood)
body type /type3
top / Germany Spruce AAA
side/back / Indian Rosewood AA
neck/ Mahogany
finger.b / Ebony
head face plate Brazilian Rosewood /"A" logo
bridge / Ebony
back center / spolted chestnut
strings/ Ancestor's弦 (Light)
peg/ UPT
販売 クワイエットヴィレッジ様
お見事な柾目ローズです。真ん中には栃を飾りで入れました。
艶消し仕上げ
ヘッド化粧板にはハカランダ
#357 PP392BT/Type3
rosetta type /PP
scale /392mm 19fret end
puff ring type /B(黒茶黒線)
binding type /T(栃)
top / Western Red Cedar
side/back / Indian Rosewood AA
neck/ Mahogany
finger.b / Ebony (稲穂インレイ)
head face plate Ziricote/none
bridge / Ebony
strings/ Ancestor's弦 (Extra Light)
peg/ UPT
お客様オーダー品
ジリコテを鉄焙煎染めで黒くしたヘッド
#349 QV432RM TENOR CUSTOM
rosetta type :QV
scale :432mm 19fret end
puff ring type :R(Rope)
binding type :M(Maccasar Ebony)
body type :tenor
top Sinker Redwood
side Figured Sapele
back Figured Sapele & 栃
neck Mahogany
finger.b Ebony
head face plate Brazilian Rosewood
bridge Ebony
head Slotted
strings Augustin Red
peg SEP770
お客様オーダー品
フィギャードサペリ&真ん中にフレイム栃
側板もびっしりとフィギャードサペリ

すっかり馴染んできたスロテッドヘッド
化粧板にはハカランダです。
あとがき

土曜日のことでした。この春、中学生になった長女は友達二人と一緒に美濃太田の古井(こび)神社へ桜を見に行ってくると言って出かけていきました。しばらくして仕事をしていた私のスマホにその長女からLINEメッセージが。
「お財布失くした」
え!と思ってすぐに連絡して話を聞いてみてもどこで失くしたのか全く分からないの一点張り。神社の境内なのか桜並木の参道なのか、はたまたその近所の通称「タコ公園」で遊んだ時か。結局見つからず夕方に帰宅してきた長女を連れてもう一度、思い当たる場所を探して歩きました。日も暮れかけてほぼ諦めムードに。でも最後に警察署に行って落とし物がないかだけ確認しに行くことにしました。正直まずないだろうなと思っていました。が、しかし…なんと届けられていました。
お巡りさんに長女が黒い小さな財布を古井神社近辺で失くしたことを伝えました。すると中身とその他の特徴を聞かれました。長女が財布の中に自分が赤ちゃんの頃の写真や愛猫、愛犬の写真が入っていたと答えると「これですか?」と差し出されたのがまさしく落とした財布でした。長女にとって大切な宝物である3枚のポラロイド写真が遺失物同定の決め手となって何と無事に手元に帰ってきました。しかも後で驚いたのは中に入っていた金額は二千円ほどだったのに三千円入っていたことでした。届けてくださった方は匿名で御礼を言うべき手段がなく、長女にはそのうち誰か困っている人を見かけた時には今日の分の恩贈りをしなさいと伝えました。
財布を落としても無事に帰ってくるのが日本のいいところだとはよく聞きますが実際自分の娘がその経験をするとなると身に沁みて実感します。いい国だ。
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道越大輔 (日曜日, 13 4月 2025 18:31)
坂井様
恩贈りという言葉が素敵です。
日本人は昔からこうしてこどもを躾け教え続けてきたからこんないい国になっているのでしょうね。
日本人のものづくりへの挑戦にも必ずや影響していると信じてます。坂井さんの今回の試験的なものもそういうことでしょう。
私の時も試験的に挑戦してしてもらえると光栄です。楽しみです。
さてさて、こちら休日出勤の帰途です。ウクレレ練習できる貴重な週末が終わろうとしている。(笑)
道越大輔
坂井 (日曜日, 13 4月 2025 20:37)
道越さんこんばんは!ほんと日本は心優しい国だと今回感じました。確かに落とし物があったら交番に届けなさいと教えられてきましたね。仰る通り、こういう文化が根付いていて物作りにも少なからず精神面で影響を与えてきたのかもと私も思います。道越さんオーダーのサペリテナーでも何かしらテーマを持って取り組んで行きたいと思いますので今後とも宜しくお願いします��