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オルカスの「当たり」

久しぶりの鎌倉へ向け発送

最後の最後までコン詰めて納得いくまで調整しました。

 

 

 

さてさて。うちのウクレレは基本的にオルカス弦で出荷してるんです。でも市販されているセット弦とはちょっと中身が違います。ミディアムだとかハードだとか、そういうんじゃないんです。オルカス弦を取り扱っている広島の業者さんから100m単位の「バルク」というボビンで8号、10号、と太さの違うボビンをいくつか工房に置いてあります。そこから毎回仕上げの時にボディの鳴り方に合わせて張っているんです。例えば今回はちょっとタイトな鳴り方をするボディだなと感じたら1弦を8号にしたり、反対に柔らかい鳴り方だったら音像をくっきりさせるために10号を張ったりします。あとはサドルとの兼ね合いでブリッジにもっと圧をかけたいと感じたら太めに。これは弦高を上げずに音量を稼ぐための手段ですがサスティンは減少します。もうずっとオルカスを10年も使い続けているので、この弦に限ってはかなり精緻に使い分けができるようになりました。どんな弦でも適切な張力バランスまで持っていってやることで一番美味しい鳴り方をしてくれるものと思います。当たりをつけるためにはナットとサドルをどの辺まで追い込めばその「一番美味しい鳴り方」になるかを経験則で体が覚えている感じです。多分、凄腕のリペアマンさんとかはこの当たりの付け方を色んな弦ごとに知っているんだと思います。このへんが素人はナットとサドルには気安く手を加えたらだめと言われる所以じゃないでしょうか。自分の場合はオルカスに限って「当たり」を知ってるつもりです。オルカスの好きなところはキラキラしすぎずモッサリもしていないとこ。アコースティックな弾き味を爪の当て方で色々コントロールできるところ。反対にイマイチなとこは、というかこれは経験的に作っている、またはセットアップしている自分のせいですが、当たりをつけ損なうとテンションがキツめになりやすいこと。弦のせいじゃないですね。つまりオルカスは最高です。