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tiny showroom plan

幸にして僕らが暮らす国は

民主主義国。

 

これまで空気のごとく当たり前のこと過ぎて全くその意義すら深く考えてこなかったんです。

誰しもが自由に自分の思い描く生き方を実行することができる社会。そこには当然、個人の努力次第という厳しい条件が付く訳ですが。現実にそうではない国も多く存在することを思い返すとその恩恵の有り難さを実感する2022年です。

 

「もっと自由な視座でこれからを設計し直してみる」ことができるのにやらずにいたことに気がつきました。ずっと同じ流れで生活や仕事を続けていると、ある程度形が決まってしまってその形の中の反復でしか生きようとしなくなる。一旦その形を忘れてみよう。きっとこれまでなかった変化が生まれるかもしれない。少々面倒だったり一体どこから手をつけるべきかも五里霧中なのでとても根気のいる工程ではあるけれど挑戦する環境と意志は自分で作り出すものと踏ん切りました。

 

本当は完成していなければいけないウクレレもあった訳ですが、一旦その手を止めてデザインを見直すために1ヶ月の時間をかけることにしました。その影響で八月納期の数本が九月にずれ込んでしまいました。申し訳ございません。でも、収入を止め置いてでも今はやらなければいけないタイミングだと考えました。今までずっと手をつけてこなかったヘッド、指板のデザインの見直し。まずは7月24日に新ヘッドの形状を決めるために北アルプス後立山連峰へ。実際に鹿島槍ヶ岳の勇姿を目にして感じたインスピレーションを工房に持ち帰って図面に起こす作業に取り掛かりました。それまで17年間続けてきたスクエアヘッドを変えるというのは中々の心の葛藤があったのも事実でした。それでも今は変えるべき時だと捉えて何度も図面に線を引いては消してを繰り返しました。ヘッドロゴや指板デザインを考える作業は結果的に丸一週間かかりました。そうして一新させたものを実際に木工していった訳ですが、同じ形を同じようにやってきたそれまでとは違って細かいRの付け方から指板エンド形状の作り込み方まで一個一個見直すのでとにかく思考時間がかかりました。やっと形になったのが八月の下旬。塗装に入ったのが24日。振り返れば長いようで短い1ヶ月間でしたがきっと何かの変化のきっかけになることと確信してます。

 

 

それと、「作ったものをどう展開させていくか」ってこともずっと考えてきました。もっと自由な発想を持てるんじゃないか。そこでまず始めたのが工房直販サイトの立ち上げです。まだ試験段階に近い状態ですが、まず始めてみないと何を改善すべきかが見えてこない。ここまであった要望にはやっぱり「実際に弾いてみたい」というのがありました。そこを踏まえた上で次に取り組むべき課題は規模は小さくてもいいからショールーム的なスペースを作ることです。将来的には常時10本くらい壁にかけてあり試奏できるスペースを作りたい。というか絶対に作ります。これまでは作った次の日にはお店や個人に発送してきたので工房には一本もない状態でずっとやってきました。工房に来てもらって弾けて買えるスペースを用意すること。これが今後取り組んでいくテーマだと考えてます。常に何本か弾けるウクレレがあればもっと明快なウクレレ選びができるようになると思います。ぜひ、楽しみにしていてください。