今週はジョイント加工からスタートしました。
ジョイント加工

愛用の電子トリマー、マキタ3707FC。最近Instagramで北アイルランドの老舗ギターブランド、ローデンの投稿をちょいちょい覗きに行ってるんです。ローデンの職人さんが使っているトリマもこのマキタだと知ってちょっと日本人として(自分関係ないけども)嬉しかったりしました。

ずっとこのスタイルでこの加工をやってきました。これまで370本のウクレレをこのジグでやってきましたが少々くたびれてきました。。そろそろ新調せねば。このアクリル製のジョイント用テンプレートガイドは米国スチュマックで20年前に買ったものです。ギター用なので少々細工して使ってます。アリ溝ビットを付けて数分で加工が終わってとても便利。ネック側はオス型のテンプレートに変えて同じくアリ溝ビットで加工します。実は今年の課題のひとつにくたびれた治具を作り直すことがあります。やり始めると地味に時間と手間がかかる作業なんですがこのジョイント治具や他にもちょいちょいあります。それとメインの作業机、これはもうかれこれ15年近く使ってきましたが天板が削られてきててそろそろ替え時かなと思い始めてます。これもそのうちやろう…。
ヘッド加工

コロ付きビットを装着して付けてトリミング。ガイドとなるテンプレートを裏に両面テープで貼ってます。このトリマー用の治具は主にテンプレートと同じ形にトレースするためのものです。ただ単に逆さにトリマーをセットするだけの天板なので「治具」というほどのものじゃありません。
ヘッドや指板、ブリッジなど色んなアクリルテンプレートを貼り付けて簡単に同じ形にトリミングできるので重宝してます。

鹿さんが立つ丘のラインを切り出しました。
今回はS字カーブ

瞬間接着剤で鹿と丘をくっつけました

白ボールペンで罫書き。この白が掘るときに見やすいんですよ。文房具マニアの長女に白色のボールペンがあること教えてもらって導入したんです。最初聞いた時は半分疑ってました。「白のボールペン?修正液の間違いじゃないの?」って。「じゃほんとにあったらアイスおごって」と。で、奢りました 笑

ドレメルでキャビティ加工(ビットは0.5です)。こうやって見てもドレメル越しの罫書き線が白くて見やすいんですよ。教えてくれてありがとう咲姫ちゃん(長女)。

ヘッドのロゴ入れが終わりました。鹿ロゴとAロゴ。最近はAロゴの方がちょっとだけ多い気がします。どっちも小川さんに切って頂いたもので素晴らしいアウトラインです。これ毎回思うけどヤスリかけずに切っただけで何でこんな綺麗に仕上がるのか不思議です。しかも寸分違わず全部まるで機械で切ったかのごとく正確に同じ寸法。鹿の角のめっちゃ細いところは幅1ミリ以下、神業ですね。凄い。Aロゴの交差する箇所もどうやったらヤスリかけずにこれだけ綺麗にできるのか。インレイ職人って凄い、餅は餅屋ですね。
指板製作

今ロットの指板材たちです。南半球の木、大集合。今年はローズ指板(一番右)けっこう使ってます。エボニーに比べて表情があって軽くて面白い。音も軽やかになるのでこっちが好きな人も多いと思います。真ん中のマッカーサーエボニーもたまに使います。いわゆる「縞黒檀」です。エボニーとほぼ同じ重さ、硬さでサスティン(残響)がほしい上に縞々模様のエボニーがいいときには真黒(カメルーンエボニー)じゃなくてこちらを使います。

スケールガイドを貼り付けてフレットスロット加工。
ウクレレ製作を始めた2004年から暫くのうちはホスコのフレットソーでキコキコ手切りしてました。これこそ職人ぽいとか勘違いして一枚につき2時間かもっとかけて必死に切ってた時代 笑
なんてことはない。プロクソンのサーキュラーソーを(2010年ごろ)導入しただけでこんなにもあっさりと正確にたったの5分で同じ事ができてしまったときはえらく感動したことを思い出します。たかだか3万円で。

ポジション入れ

ここまでくるとあと一歩です

サイドポジション入れ

指板完成です。
指板製作は精度が要求される工程ですので焦らず慎重に進めます。結構好きな工程です。指板は楽器全体の印象を決定づける大事なパーツ。とは言え機能的であまり派手にならないデザインの方が好きですね。指板に限らずウクレレ全体のデザインもシンプルで落ち着いた印象にしたいといつも思ってます。だからアイルランドのローデンギターが好きなのかな。

今週は指板接着完了までです。来週は木工仕上げ、週末には塗装工程に入る予定です。明日明後日と関東に帰省して水曜からの再開になります。あっという間に週末がやって来そうです。天気が良いといいんですが。今週もじっくりと丁寧にを心がけて製作に取り組みました。ボディ製作、ネック製作、指板製作。一個一個のパーツに指先の神経を総動員して大事に作る。不思議と何度やっても毎回面白いと感じる。ウクレレ製作はほんと面白い。
ここのところ毎週オーダーの打ち合わせでお客さんに工房に来て頂いてます。その度に色んなお話ができてこれまた楽しいです。皆様、ほんとありがとうございます。きっといいウクレレ作りますので楽しみにしていて下さい。
英国から
クリスが自身のAncestor'sにピックアップを搭載した動画がアップされました。かなり具体的に解説しているので中々面白かったです。彼が普段ライブで使っているペダルボードやアンプまで教えてくれています。10:51あたりから実際演奏した音源が聴けます。今週クリスはチェコに遠征ライブ&ワークショップに行っています。自分が作ったウクレレがイギリスから今度はヨーロッパに行っているのかと思うとなんだか不思議な気分です。いつもありがとうクリス。
あとがき

庭の隅っこの日が当たらない場所がいつも大雨が降ると水溜りになってました。なんとかしなきゃな〜とずっと思っていました。先週日曜日にホームセンターでインスタントコンクリートを購入して自分で施工してみました。2平米で厚みは7cm、一袋20Kgのインスタントコンクリートを13袋。やってみてどうだったかと言うと…マジでキツかったです。まず重い。下地の土砂をブロックで転圧する作業でいつも使わない筋肉を酷使したらしく、どれだけ山登りしても筋肉痛にならないのに初めて内股あたりがやられました。さらにインスタントコンクリートを水と合わせて角スコップで攪拌する作業も重い重い。二日間の乾燥の後にディスクグラインダーで平坦に均しつつ「研磨の柳瀬」の研磨パッド60番で磨いてやっと完成したのが上の写真です。外構屋に頼むよりは安く済んだけど道具込みで3万円ほどでした。コンクリ打つ予定がある方、もしいたら(いるのか)参考までに体験談でした。。

型枠にインスタントコンクリートを流し込んで乾燥後にディスクグラインダーでひたすら磨くだけなので簡単と言えば簡単。でもかなりの重労働でした。しかしなんか右手中指の第二関節あたりから指の付け根らへんが腫れてきてる。地味に痛し。転圧してる時にぶつけたのかな。慣れないことはするもんじゃないですね。

いや〜しかし素人にしちゃよくできた。そのうち工房脇の隙間もコンクリで埋めよう。いっつも草ボーボーになるあそこを。
しかしこんなにコンクリをマジマジと見つめたことはかつてなかったです 笑
今週もお疲れ様でした。
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川上優子 (月曜日, 05 5月 2025 14:29)
インレイのシカの立つ丘は、自作なのですね!実際に工房にお邪魔して、お話を伺って、今回のブロクをより一層楽しく拝見させていただきました。
このコンクリートのことかな〜 やはり..,上手い♪
これからも、ステキなウクレレを楽しみにしています!
坂井 (月曜日, 05 5月 2025 21:34)
川上さんこんにちは!先日は工房まで来て頂きありがとうございました。そうなんです。鹿の立つラインは私がゴールドパールから切り出しています。小川さんが切った鹿に失礼のないように心を込めて…
あのときお話ししたコンクリート、まさにこれです。これ作るのほんときつかったです 笑