師走

またしても新しい試み

気がつけばもう師走。

塗装組

木工も着々と進めております。

もっと道具として面白いウクレレを作りたいんです。音楽をシンプルに、ストレートに表現できるようなウクレレ。実践的なものにするためにはもっと生のライブを観に行かなくちゃいけないなと思いました。自分の考えは一旦置いておいて、表現者達がどうやって弾いてるのかを直に見たい。これまでの10年はずっと自分の主観の中で作ってました。そうじゃなくて、演者が現場でどんな音を出しているのかを見て知ることの大切さをもっとわからなくちゃいけない。それを製作に反映させていけばきっともっと面白いウクレレができる。デザインだけじゃなくて製作哲学も変化した一年になりました。来週木曜の12月8日に神戸のカフェ・ファボリータさんで行われるzerokichiさんのウクレレライブを観に行って参ります。バイオリンとの共演、今から楽しみです。日中まで仕事してから新幹線で日帰り強行日程になるのでライブを最後まで見れるか分かりませんが、それでも今は見たいと思った演奏は無理してでも見に行きたいと思います。

ポルトガルから木工職人ヌメス一行がハワイに降り立った1878年。現地の楽器ブラギーニャを現地の木であるコアで作ったものがウクレレの始まりだったことは有名なストーリーですよね。そのちょうど100年後に生まれた自分はその楽器に魅了されて製作しているわけですが今その資料を見てもそのデザインセンスの高さに惚れ惚れしてしまいます。

ヌメス一行3人のうちの一人、サントが製作したウクレレ。彼は家具も作るミュージシャン。この指板がないスタイルってのがいつ見てもすごいと思う。ネックに直にフレットを打ち込む、特にジョイント位置の12フレットがボディラインに沿ってビシッと入ってるところに技術力の高さを感じます。19世紀の南の島に電動工具なんてなかっただろうし全部手作業で作ったわけで。変態の域です。

このデザインも秀逸ですよね。実はロープ柄の醸すアンティークな雰囲気に最近虜になってます。それをそのままコピーしても既に巨匠達がやってることなので自分なりに現代風に「アンティークさ」をアレンジしたデザインと実用性を同居させた二本がやっと木工大詰めを迎えてます。

製作中の鎌倉行き360(左)と345(右)

ロゼッタには小豆色の細めのロープ。パフリングには細かめのモノトーンロープを0.3mm幅の黒ラインで挟んでみました。ボトムには得意の髭飾り、肩にはビルトインしたエボニー(左360)とブラジリアンローズ(右345)のピックガードをあしらいました。