鎌倉と三浦半島を旅する。

ソプラノ用の新たなフレットを求めて再び神奈川を目指します。まず向かったのは綾瀬。一昨年来、二度目の三晃製作所訪問です。1.65mm幅のフレットはユーザーさんたちにも好評のようで、これからもコンサートを軸に使って参ります。ソプラノはそれよりも0.25mmナローなフレットにしたいと思っております。先月電話にて2/10の午前11時に打ち合わせの約束をしてわざわざ時間を作って頂きました。前にも説明しましたが世界の大手の楽器メーカーを相手にしている国内唯一のフレットワイヤーメーカーが三晃さんです。僕のような一個人製作家を相手に仕事をして頂けることを光栄に思います。

 

 

 

ものづくりの街、綾瀬。活気に満ちています。

 

 

 

ここへやってくるのは二回目です。

 

今回も暖かく迎えて下さいました。

 

 

どこか菅原文太のような威圧感のある斎藤さん。一見強面ですがとても理解ある優しい方でこちらの話をよく聞いて下さいます。そして今回1.4mmのサンプルを頂いて参りました。スタッドというフレットが指板に食い込む楔部分の間隔が狭くなっていて使いやすそうです。あ、使いやすいって言うのは作り手から見てのことですよ。小一時間ほどで綾瀬の工場を後にしました。

 

 

 

 

 

1.4mmフレットの納期は4月ごろとのことで、いまからワクワクしてます。フレットはやっぱり演奏性と音質の要だと思います。ナット、サドル、フレットの三種の神器に究極に拘っている身としましてはここ三晃製作所はある意味で聖地です。極端に言ってしまえばどんな安物のウクレレでも三種の神器さえしっかりしたものに替えれば高級機と同様の弾き味になるわけです。それくらい大事。個人製作家がわざわざ自前のフレットを大量にオーダーするって前代未聞の珍事かも知れませんが僕からしたらこれこそいいウクレレを作るための一番の近道なわけです。フレットの材質やタング(溝に打ち込まれる部分)の幅を基準にして指板の細かなスペックを組み立てる。タング幅に見合った指板溝の幅が切られてないと余計な負担がかかって反ってしまいます。考慮された上の指板とフレットがネック本体に正しく作用する。それぞれが上手く組み合わさって初めて弾きやすいウクレレが成立するんだと思います。その端緒がフレットだと考えてます。

 

 

 

 

続いて向かったのは鎌倉は七里ガ浜です。

 

海を背にして坂道を登って行きます。

 

 

 

 

やってきました。二度目のクワイエットヴィレッジさん訪問です。あずき色の外壁に白いドアと出窓のツートーンがおしゃれですよね。

 

色は違えどなんとなくうちの工房と雰囲気が似ているような気がします。うちもあずき色にすればよかったかな。なんちゃって…。

 

 

 

 

オーナーの堀口さんと奥様です。とっても気さくで話しやすい。だからついつい長居したくなちゃう。そんな店内の空気です。こんな素敵なお店に自分が作ったウクレレを置いてもらえる..。めっちゃ幸せです。絶対良いもの作るぞって改めて思いました。

 

 

 

 

このシナモンロールが美味しい。

 

珈琲と絶妙な相性でした。

 

これ目当てにまた来るお客さんきっと多いでしょうね。

 

 

 

僕の作ったウクレレをこちらのお店でご購入、ご愛用頂いているKさんとも再会。一度岐阜の工房に足を運んで下さって以来です。毎日弾き込んでいるってのが良くわかるくらい音に深みが増していました。ありがとうございます。

 

 

 

名残惜しいけど次の約束時間があるのでここを後にしました。

 

 

 

 

クワイエットヴィレッジさんから車で5分のところにある三井さんの工房へ向かいます。それにしても七里ガ浜っていいところです。映画にでてきそうな雰囲気。坂道の向こうに湘南の海。是枝監督の「歩いても歩いても」みたい。

 

 

 

 

 

三井さんの工房には十数年前に一度、まだアマチュア製作家の頃にお邪魔して以来です。2007年ぐらいだったかな。あれからずっと三井さんの背中を追いかけ続けて頑張ってきました。わくわくしながら階段を上ります。

 

 

 

去年の台風でベランダにあったアトリエが動いてしまったことやパイナップルウクレレのデザインなどなど色んなお話をしました。三井さんは優しく気さくでいつも丁寧に話をしてくださいます。とってもお忙しいところお邪魔しました。また来ます!

 

 

 

パステル色の外壁がぽつぽつと見える坂の街。海も近いしゆったりした空気もいい。鎌倉いいですね。また来ます。さて綾瀬、鎌倉と3か所お邪魔して最後に向かうのが本日の野宿予定地、三浦半島です。

 

 

 

 

 

日は傾き午後4時過ぎ。

 

 

 

 

もうあと20分くらいで日が沈むかなって頃に目的地付近に来ました。ここまでちょいちょい車窓から富士山が綺麗に見えました。

 

 

 

 

 

いよいよ日が沈んだころ。広大な三浦大根の畑が広がる中を浜辺へ抜ける一本道に差し掛かったところです。車を止めて西の空を見ると綺麗なマジックアワー風景に感動して思わずシャッターを切りました。

 

 

鎌倉を出てから一時間弱。三浦半島は毘沙門天浜に到着です。浜の東奥の方に一人、先客がテントを張っていました。今のところ僕とその方の二名だけのようです。

 

 

 

静かな浜辺でテントを張って焚火に興じる。こんな贅沢はないです。岐阜から400キロ走ってきた一日のゴールがこの浜です。月が優しく照らしてくれました。

 

「おつかれさま」

 

 

なんだかお月様に言われた気がします。

焚火の爆ぜる音にカリンバの音色。

 

 

このぼーっとできる時間が大好きです。

家から一本牛蒡を持ってきました。笹垣にして金平にします。

 

 

 

 

鶏の胸肉をただ塩コショウして焼くだけですが浜で食べると美味しいです。やっぱり雰囲気で味って変わるんですかね。

 

 

 

 

 

〆は八海山です。

 

 

 

二度目の綾瀬と鎌倉。自分のウクレレ製作ライフの転換期になるこのコース。三晃製作所で斎藤さんとフレットで音ががらりと変わることを熱く語りました。クワイエットビレッジでうちのウクレレユーザーのKさんの演奏を目の前で聴いて胸が熱くなり、「ここまで弾き込んでくれる人」たちのためにもっともっと精進しなくちゃいけないと気持ちを新たにしました。十数年の時を経てもなお変わらずおおらかに対応してくれた三井さんにも感謝の気持ちで一杯です。鎌倉へ来てほんとに良かった。

 

 

 

また素敵な旅の思い出が増えました。

 

 

 

朝6時。

 

まだ陽は出てないようです。

 

 

 

 

 

ストーブでお湯を沸かします。

 

 

 

 

米が炊き上がりました。

 

 

 

 

 

 

三浦の朝定食の完成です。

 

 

 

ぽつんと一軒家。

 

 

 

 

 

 

 

珈琲一杯で帰ります。

 

 

 

三浦半島いいところでした!

 

また来ます。

 

 

 

 

三浦の写真を撮りつつ岐阜へ帰りました。

 

 

プチアルバムを作りました。

 

よかったらご覧ください。