MODELS

設計思想

工房を2012年に立ち上げてから来年で10年になろうとしている2021年12月半ばにこの文章を書いている。正直申し上げて今の今までウクレレというものを表面的にしか理解できていなかった。そのことに気がつくまで10年もの歳月を費やしてしまった。ギターには大別して鉄弦とガット弦を張る2種類の生ギターが存在する。つまりアコースティックギターとクラシックギターだ。弦の張力に応じてボディの構造も当然違う。ガット弦よりも遥かに強い力で張られている鉄弦に対応したXブレイシングというものをドイツのC.F.マーティンが開発したことをきっかけにそれまでのファンブレイスギターをクラシックギターと呼んで分別して認識するようになった歴史を持つのが生ギターだ。それと同じようにウクレレにもフロロカーボン弦とナイロン弦を張る2種類のウクレレが存在するが、あえてこれをギターのように分けて〇〇ウクレレと呼ばないので単に張る弦が違うだけのものとしか認識されていない。どっちを張ろうがそれはウクレレでしかない。自分も何の疑問も持たず作り続けたが故に、そこに気がつくのにこんなに時間がかかってしまった。なんとお恥ずかしいことであろうか。あえてそれぞれの弦のサウンドキャラクターを示すならばギターで言うところのシャープでパワフルな鉄弦的な鳴り方はフロロカーボン、ウォーミーで太い鳴り方をするガット弦的なそれはナイロンとなる。ただここで留意しておかなければならない落とし穴がある。ボディを設計する前提となるのは当然、張力だ。前述した生ギターの場合は最初にガットギターがあって、その後にC.F.マーティン1世が鉄弦ギターを作った。張力はガット<鉄弦だ。故にファンブレイスよりも頑丈なXブレイスが開発された。ウクレレはどうか。これが逆なのだ。意外なことにナイロン>フロロカーボンなのだ。ほぼ倍近い差がある。ダダリオのEJ99などのフロロカーボン弦が1弦でおおよそ2.5Kg前後の張力に対して同じくダダリオEJ65などのナイロンシリーズの1弦のそれは5Kg弱である。これはウクレレボディの設計において無視できる要素ではないことに気がつく。さらに弦の振動幅の狭いフロロカーボンがビビりにくいのに対してナイロンは太く振動幅も広いためサドルをやや上げる必要がある。これはクラシックギターと鉄弦ギターがセッティングにおいても全く違っていることと同じだ。

 

 

 

 

 

ここまで見てきたようにウクレレも分けて考えるべき時代に、実はかなり前の時点から突入していたのではないか。ちょっと脱線するが、自分なりにジェイクのウクレレサウンドがなぜ2010年代にあれほど世界を席巻したのかを改めて考えてみた。おそらく二つの要因が成功に繋がったのだと考える。まずテナーで現代的な音楽をとことん表現したことが新しかった。それまでの古典的なハワイアン楽器のイメージを一変させた。二つ目の要素は先進的なテナーウクレレと相反してナイロン弦を張ったダダリオEJ65の暖かくメロウなサウンドだ。ガットギターの暖かい音質は聴く人の心を捉える。先進的なのに古典的な要素を持ち合わせたテナーウクレレと演者の最高の人柄を通じた楽曲がブレイクに繋がった。そんなとこだろうか。話が逸れてしまったがナイロン弦を張ること前提に製作するウクレレとフロロカーボン弦のそれとを設計段階からセッティングに至るまで分けて考えるべきだ。当工房より2022年以降に生み出されるウクレレはこれまで以上に「クラシックウクレレ」と「モダンウクレレ」を鮮明にサウンドキャラクターを分けて制作していこうと考えて目下設計し直している。クラシックウクレレと呼ぶと20世紀前半のヴィンテージウクレレっぽいものを作ろうとしているような誤解を招くかも知れない。そうではなく、ナイロン弦を活かしきるための設計思想をもったウクレレを製作していくということだ。鉄弦的なシャープなサウンドを有するフロロカーボンモデルのモダンウクレレと合わせてナイロンモデルのクラシックウクレレとともに来年工房10周年を迎えるにあたり、より深化した当方のウクレレをお披露目できるものと思う。


Ancestor's  Modern & Classic  5models

 

●Classic model

12フレットジョイントに大きめのボディ。ふくよかな鳴り、心地よい音圧。

[CS] Classic Soprano 344m / 12fret joint / 17fret end 

[CC] Classic Concert 392mm / 12fret joint / 17fret end 

 

●Modern model

14フレットジョイントにスタイリッシュなボディライン。バランス重視のサウンド、弾き易さ。

[MS] Modern Soprano 360mm / 14fret joint / 18fret end  

[MC] Modern Concert 396mm / 14fret joint / 18fret end 

[MT] Modern Tenor 432mm / 14fret joint / 18fret end

 

 

Classic model

Classic Soprano

Classic Concert

Modern Soprano

Modern Concert

MODERN TENOR 

●ukulenchannel lenさんのレビュー動画