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高い授業料と引換に

数年ぶりのハワイアンコアヘッド

ボディもエキゾなハワイアンコア

阿佐ヶ谷組、先週末には塗装が終わるはずだったんですが雨、雨、高湿度の曇りで1週間ずれ込んでおります。何度もご説明申し上げておりますがうちのウクレレの塗装方法は下地から最後まで全部極薄ラッカーオンリーなのでそもそも時間と手間がかかります。いつか試そうと考えてはいましたが今回は何とフィラーすら使わずにラッカーオンリーで仕上げました。あまりに無謀なチャレンジかとは思いましたが案外ひと月で収まりました。そこは拘らずに下地をウレタンでパパっと作ってしまった方が早いんですがラッカーバージンで統一したい変な個人的な塗装への拘りの問題です。ずっと十年間以上も正攻法で塗装をしてきた上で一番自分が納得いく塗装方法にやっとあり付けた気がします。不純物ゼロ、下から上までラッカーってほんとに綺麗なんです。これも何度もブログの中でお伝えしてきた事ですが、塗装は人それぞれ。製作家ごとに積み重ねてきたやり方がある。どれが正解ではなく全部正解なんです。特にウクレレの塗装方法は木の質感をダイレクトに見せるオープンポア(つまり導管をあえて見せるやり方)も市民権を得ているし、ギターのようにビッチりしたグロス仕上げまである。サテン(艶消し仕上げ)にも三割から半艶、全艶消しまである。それはビルダーそれぞれの方向性で変わるので同業者同士の会話で塗装の話になるとほんと奥が深くて酒も進むんです。



色々含めてウクレレ作りはどこか農業と似ている気がするのは僕だけでしょうか。ウクレレ制作と農業の親和性。今度そこらへんのことを栃木で苺農家をしている妹夫婦に聞いてみようと思います(笑)

 

でもこないだですね。市内の同業者、Leaf Instruments の長坂くんと呑みに行った時の話題で楽器制作は「理系脳が主要」みたいな話をしたんですよ。季節や天候・工房の気温湿度を前提に作業を進めたり、完成から逆算して段取りを組んだりすることだと思うんですが。例えばボディの板厚などは仕上がりを1.6mmにするときはブックマッチ時点で3mm⇨ロゼッタの厚み1mmを考慮して2mm⇨ロゼッタ加工後に1.8mm⇨ボディ研磨して1.6mmというイメージで進めていきます。裏板は特に装飾もないので最初から1.6mmまで落としちゃいます。サイドは曲げ前の時点で1.8mm。曲げた後に歪みが出るのでコンマ2mmの余裕を持たせておいた上でサイドバックが器状になった時点で内側と外側から研磨して均します。その時点で1.6mm。で、最終的にボディ全体が1.6mmになるように作る。この辺は数値化して進めていくので理詰めですよね。でも、感覚的な部分もかなりある。サッと触れただけで板厚が何ミリかもわかるし、むしろ1.6mmと決めていても実際最後に判断しているのは自分の手に伝わる感触です。「もうちょい」「こんなもんでいいかな」というところまで落とし込む。これができるようになるまで結構な時間と経験がいるのは確かなようです。

 

 

ウクレレ作りを始めた頃はこの「どこまで削ればいいのか」が難しかった気がします。シックネスゲージを使って随所を計っては削るを繰り返すんだけどどこまでやっていいのか、どこで止めるべきなのかが分からなかったんで何度も高級材をお釈迦にしてしまった。そのおかげもあっての今だと思えば高い授業料だったけど糧になったんだと思います。ではまた!