リセット

今年に入って製作スピードを意識的に上げるようにしてます。お陰様で例年になく早い段階で10月末までの個人オーダー枠は埋まりました。少しずつうちのウクレレも評価されるようになってきたことを実感できるようになりました。昨年からベーシックの製作販売を始めたことが大きいようです。裾野を広げることでレギュラーモデルの需要も押し上げられてきました。レギュラーモデルをその形の基礎となる良質なベーシックモデルの上に成立させて行くことで工房に一本の筋を通してくれることもあるんだということをオハナさんに学ばせて頂きました。ほんとに感謝です。

…そう言えば今年はまだ一度も人前で弾いてないことに気がつきました。昨年まで散々ライブをして見つけた楽器哲学が二つありました。
・マイウクレレを心底惚れ込んで弾く
・最後は自分の内面が出る
最初の点。心底惚れ込むってのは大事な気がしました。たいがい裏切って行くのは弾く側、自分。違うジャンルの音楽が好きになったとかがキッカケでそれまで大好きだったはずのマイウクレレが違うものになってしまう。興味が1ミリでも愛機からズレればそのウクレレのほんとに美味しい部分が見えなくなる。いい音を出すためには惚れ込んで弾くことが大きいみたいな気がします。ウクレレを作る側から言えばそういうものを作ることが大事ってことに気がつきました。となるとやっぱり一番肝要なのは音。弾き味。弾き心地。ルックスの好みは人に寄りますよね。出来るだけシンプルな見てくれの方が個人的には好きです。
もう一点は去年秋、一番最後のライブでお客さんに言われたこと、「自分の世界を壁で囲ってる音楽ですね」。これはキツかった。図星だったから。40人くらいの箱だったと思いますがちょっと緊張しちゃって早めに自分の世界に入ってしまおうと思ったまんまが全部伝わってしまった。自分の腕が未熟なのがいかんのですが、それはさておき遠くから来てくれた方も多くみえたのに自分の殻に篭った酷いライブをしてしまったことにその後ずっと後悔しました。それがキッカケでそもそもどんなウクレレミュージックが好きだったのか、根本を見直してみることにしました。工房に帰って山と積まれたCDを一枚ずつ手にとってみる。するとしばらく聴いてなかったオータサンのCDが出て来ました。All By Myself 。ソプラノ一本で優しく弾く心地よい音楽。あぁ、これだった。このオータサンの音の虜になったのがそもそもの始まりだった。一旦リセットしよう。テナーを置いて、毎日欠かさず練習していたのも一旦やめました。オータサンを聴き返そう。それが去年の初冬。まだリセットの最中です。人前で再び弾くのは当分先のことだろうけど、シンプルに今は自分が作った7Mの音色に陶酔しながらオータサンの譜面を見て弾くことが楽しく感じます。なんか色んなことがシンプルになって行く今日この頃です。