趣味の文庫本読み

久しぶりに楽器作りとは関係のない話題。今日は最近読んだ本の感想でも書こうかと思います。
我が家にはかれこれ8年くらい前からテレビは繋いでいない為に世間での流行りなどはつゆ知らずです。唯一のメディアと言えば仕事中に流しているNHKラジオのみです。休日の楽しみは子どもと遊んだり、ソロキャンプに出かけて焚火と酒のそばでベストセラー本の文庫本を読み漁ることです。
文庫本は宮本輝や百田直樹の小説文庫本から世相本、経済学の本まで色々読んで来ました。一昨年、ベストセラーとなり話題を呼んだこの水野先生の本。とても面白かったです。何時ぞや話題を呼んだピケティ経済学とともに今の時代がどんなカラクリで何処に向かいどんな問題があるのかがよく分かります。
以下、この本の概要と感想です。マクロ経済学のかなりヘビーな話ですから興味のある方だけお暇な時にでも読んでみて下さいね。








【2014年時点で、世界の大富豪のトップ62人が世界の貧困国38億人分の資産を持っていてグローバル資本主義がもたらした極端な格差が今後さらに拡大していくのは間違いないそうです。資本主義は資本をフロンティアに投資して資本拡大を目指しますが1970年代には既に残されたフロンティアの縮小傾向が始まり90年代初期には地理的なフロンティアはほぼ無くなり、資本の行き場が無くなりました。
それまで世界の人口の15%にあたる先進国が残りの途上国や貧困国の犠牲の上に経済発展と体制維持を続け、民主主義と資本主義の両輪で覇権を維持拡大してきた米国主導世界の仕組みに黄色信号が点ります。そこで米国は新たなフロンティア創出のために電子通信革命を起こして新たに金融空間を作り出します。それがIT革命でした。国際資本の完全自由化を95年に実現させた以降は大資本が国境を超えて簡単に「一瞬で」行き交うようになって行きます。それにより世界中に眠る資本がウォール街に集中する仕組み、米国金融帝国が完成します。これ以降、それまで地道に増殖してきた中流層が先進国において没落して行きました。
資本主義において国内企業が発展し、発展により増える資本が国を通して中流層に循環していた民主主義の仕組みが国際資本の完全自由化によって破壊されてしまいました。資本のための資本主義は民主主義と決別します。大規模なバブル崩壊が一度起これば国は公的資金、つまり税金を使って資本救済を行って来ました。これはまさに資本を持つ者が主で国が従の逆転関係です。暴走を始めた資本主義はほんの一握りの人間に巨万の富を集中させ、大多数を没落させる結果となっています。95年以前とは世界全体の経済規模や構造が異なるためにいくら一個の国内で構造改革を行おうとも、既存の資本主義体制のままでいる限り、世界資本に呑み込まれるスパイラルに陥っているのが21世紀の資本主義体制です。
資本主義は資本が資本を自己増殖させる仕組みである以上、バブル構造を孕んでいます。95年まで先進国中心に発展して来た社会は、IT革命後グローバル化を推し進め、中国、ロシア、インド、ブラジルなどのBRICKS諸国30億人を新たに巻き込んで「成長」を求め資源の開発競争を激化させ続けています。
 今や金融空間は実態経済の数十倍の量のマネーゲームを膨張させながらグローバル化の名のもとに世界中を欲望の渦に巻き込んでかつて経験した事のない規模の世界同時バブル崩壊の一点へ向かっていることへの警鐘を鳴らす一冊でした。焚火をしながら自分が生きている時代の現状を知識人の書物から読み解いて行くのは酒が進みます。一人当たりのGDPが上から数えた方が早い位置、かつ未だ世界一安全な国に暮らしていると、自分から世界の現実を知ろうと努力しないと近い未来の危機に対して鈍感なままに安穏として過ごしてしまいます。ホームグローンによるテロ事件への恐怖が実際に頻発している欧州に暮らす方々は今まさに格差社会によって生じる軋みに苦しんでいます。今世紀早々に起きた世界貿易センタービルへ飛行機が突っ込んだ大事件や極大化した格差が産んだ頻発するテロの根源は実は暴走する資本主義にあるとかないとか考えたり…。




現実に顕在化しているテロ組織を撲滅する事をテロとの闘いと位置付けることよりも、その根源がどこにあるのかという世界の共通理解を深めることこそが本当のテロ撲滅に繋がる唯一の方法ではないのか。…ん?それだと結局、新たなテロを産んでしまうのか…て、ことは新しい富の再分配政策を実行できる民主主義の形を模索しないと最終的には格差は解決しないな…でもそんなことを現代資本主義の支配層が許すわけないか…とか途方も無いことを小さな一般庶民はぼんやりと焚火を見つめ酔っ払いながら考えたりもしました^_^;






....何だかすんごいスケール感の話だなぁと思いながら一気に読みましたがとても勉強になりました。果たして未来はこれからどうなって行くんでしょうね。ま、現実のカラクリがどうであれ、一庶民はひたすら地道に暮らすことに何ら変わりはないんですけどね…^_^;誰もいない真冬のキャンプ場。そこで静かに焚火に暖を取りながらじっくり酒をやると普段めったに読まないようなジャンルの本を読み更けったりすることができます。ただの酔っ払いソロキャンパーです。冬のキャンプ場はハイシーズンとは違ってソロキャンパーへのファミキャンからの偏見視線もないしアホみたいに喧しく花火をぶちまける輩も皆無。ほんとにキャンプが好きなオッさんたちがちびちびと集まる良いところです。外はマイナス気温ですが焚火を前にしたタープの中はかなりあったかいですよ。

…ま、しかしこういう学者さんの本を読むといつも思うんですが物事の見方っていうのは万華鏡だな…と感じます。ちょっと角度を変えるだけで見えるものがガラッと変わる。同じ現代経済書でもグローバル化社会をバラ色の書き方でアプローチしていたりする学者さんの本も読んだことがありました。時代に無頓着でいることも一つの生き方といえるかもしれませんし。
それでも知る楽しさってのは大切な気もします。2015年のベストセラー文庫化。興味のある方はぜひ読んでみて下さいね。
さ、庶民は仕事します!(◎_◎;