フォックスベンダー

 

手曲げではアイロンに部分的に木をあてて曲げていきます。フォックス式は板全体をブランケットにあてて熱しながら曲げて行きます。さらに大事な違いが一つ。手曲げではアイロンにあてている面と反対の面に力の逃げ場が生じるために割れるリスクがあります。いくらステンレスの薄板をあてがっても限界があり、杢の激しい材は相当慎重に曲げないとすぐにお釈迦になります。フォックス式は材の上にブランケットを乗せてさらに2枚のステンレス薄板で挟み込み、下には曲げ型があるので力の逃げ場はありません。だから割れにくいんです。でもこの道具を使えば絶対安心ということはなく、やはり材の種類ごとに温度設定や曲げ速度などを手の感触を頼りに見て行く必要があります。手曲げで泣かされた経験は活かされるわけですね...。

 

アマチュア時代から11年もの間、側板は手曲げでやってきました。このベンディングアイロンに着いている焦げ跡に色んな経験を刻んできたように思います。樹種ごとの癖や曲げるための適切な温度、曲げに入る前に木材を湿らす度合いの違いや割れ易い木目、負けパターン…。散々泣かされてきたこと。上手くいったこと。工夫してきたこと。この焦げ跡にはたくさんの経験が詰まっています。これまでに培ったことが必ずフォックスベンディングに変わっても活かされることと思います。