究極美


塗装に入れるタイミングを決めるのはやはり自分自身ですが、どこまで木地を磨き上げればならないという絶対的な基準はありません。まだまだだと判断するか、これで行けると判断するかは最初の頃はとても難しいものでした。最近になって自分の中での合格ラインというのがやっと出来上がりつつあります。塗装はあくまで木地を保護するための膜を作る作業と考えてます。塗料を吹き付ければ魔法のように美しくなるということはなく、楽器の美しさは木工工程の最後の磨き上げ如何で決まります。空研ぎのサンドペーパー、600番手で細かく磨き上げて行きます。この時の磨き次第でそれまで大切に積み重ねてきた木工工程の成否が決まるので集中力と根気で粘り強く作業を進めます。





12年前に製作学校でギターを作っていた頃には塗装で色を入れたり艶を求めたりしていた記憶があります。今はその反対。色は木材自身が持ち合わせている素材色を活用してそれが最もシンプルに美しく見えるような飾りをこれまた木材片で入れ込んで行き、最後に空研ぎで磨き上げて塗膜で保護するやり方です。木工工程の中で完結させて行く考えに立っています。ベーシックモデルはその意味において今までやって来たことの究極美に近いかも知れません。とことん飾りを削ぎ落とす…その上で美しく見せるためにはどう仕上げて行けばいいかを考えることは難題であったと同時に今までやって来たことを振り返るきっかけにもなりました。ウクレレが本来持ち合わせている素材感や木の温もり、暖かい音。何もカッコつけてないのに魅力的な風貌。ワンポイントだけ、バックペンダント飾りを入れて自工房のものであることを主張してみました。