個性

製作しているときに主に使っているのは私の場合、恐らく右脳。空間やイメージ、直感を総動員して作り上げます。これは作り手それぞれ皆十人十色だと思います。普通ならば緻密に図面を引いて、それを元に木材を使って形にして行く。その場合は言語や記憶、理論的な思考の左脳を使ってるはず。製作手順や基礎的かつ正しいとされる考えに従って着実に形にして行く正攻法。私にはそれが出来ないんです…。モデルが6つありながら図面などない。あるのはテンプレートと型枠だけ。使う木材をまず見てから最終2.0㎜厚にするか1.8㎜にするか、はたまた2.2㎜にするかを決め、さらに厚み調整を手作業でしながら木のたわみ具合を見て方針を変えて行くやり方です。表板の特徴を見た上で器(サイドバック)の厚みをどうするかを考えます。
同時に表板材の様子を見てブレイシングのパターンや大きさ、長さを個体ごとに考えます。だから細部までビシッと図面を引いても私には意味がないんです。モデルごとのテンプレートと型枠だけあれば良い…となります。あとは木材次第。木がして欲しいように作る。木の言うことに従う。正攻法はその反対。自分の書いた設計図が前提にある。どちらが正しいとかじゃなく、考え方の違いでしかありません。いや、出来ないんです。まともな作り方が。同じウクレレを作るという目的であっても私のような雲を掴むような進め方をするビルダーは珍しいと思います。たまに工房にウクレレの作り方を教えて欲しいとやって来るお客さんが来ますが、そういうわけで教えることが難しいんです。木に聞いて下さいと言っても…^^;
右脳フル動員で完成させるウクレレ。毎回、見た目以上に中身はギュッと創意工夫が詰め込まれます。シンプルであっても放つ個性。全部私の手先から生まれた音。ショップオーダー、個人オーダー垣根なし。私の音を作る作業。

弱点はまさにそこにあったりもするんですが。前に作った同じモデルがなぜあんなに良い結果をもたらしたのかをより理路整然と把握し直すことが難しいこと。とは言え木材ごとに、同じ丸太ですら取る場所によって性格が違うのでやっぱり木に聞いてみるやり方しか私には出来ないです。