Jazz Ukulele

ずっとブログを更新していませんでしたが以下は最近製作しながら一人悶々と考えていたことを纏めたものです。つまり独り言。ですので敬語を省いておりますのでご了承下さい。


…うちの工房の謳い文句、"the fine uke for jazz"。ジャズに特化したウクレレとは何か。そもそもジャズウクレレと聞いてすぐにこんな音楽と分かるほど確立されたものではない。ジャズギターと聞いたらすぐにその雰囲気を察することができる。今の段階では「ジャズウクレレ」と言えばジャズギターの真似事をウクレレでただやるだけのように理解されていることが多い。それはおそらく生のウクレレの音でただそのままジャズスタンダードを弾くことが一般的だからなのかも知れない。ジャズは即興音楽。スタンダードはあってもそこから崩して展開させて行くことに楽しさがある。ジャズプレイの基本的な意義はギターもウクレレも同じ。だからギターの真似事と呼ばれるのはむしろ光栄だ。
ではギターでのジャズの音とは何だろうか。生ギターでやるジャンゴ・ラインハルトらのジプシージャズなどはさておいて私の大好きなジャズギタリストのジョー・パスやバーニーケッセル、ジョンスコフィールド、ジョン・マクラフリン、最近やたらと仕事場でかかっているラリー・コリエル…あげればキリがないがとにかく全て電子音だ。エフェクトサウンド。空間系エフェクト。もはや何も問う必要もないほどジャズギタリスト達の音はアンプありきで成り立っている。ジャズギターの歴史的観点から見て、今そうなっているのは当然ではある。ホーンセクションが花形だった20世紀初頭ではギターは伴奏がメインであった。バンドの中にあって音が小さいからだ。ソロを取るにはアンプが必要だった。
やがてそれは進化して行き、ギタリストが脚光を浴びる時代がやって来た。フュージョンへとさらに発展する。ジャズにおけるウクレレも新しい電子音を見つけなければならないが今ハッキリとそれが何かというのが分からない。分からないならば自分で探すしかない。今はローランドのJC(ジャズコーラス)直系アンプを試したり手持ちのAC(アコースティックコーラス)にさらに空間系エフェクトを色々と試したりしている。その音で、どんな会場やお店、イベントでも演奏しているが反応は良いが「ウクレレに聞こえない」「こんなウクレレ初めて聞いた」といった感想をよく聞く。エフェクトと同じく大切なことは曲相に応じて細かくイコライザーを調整する必要があること。I-Realの伴奏楽器との兼ね合いを考慮する。シンセサイザー系のバック演奏の中ではほぼフラットで、ギターやバンジョー、マンドリンといった弦楽器系のバック演奏の中ではトレブルを絞ってミドルを持ち上げる。イコライジングのハイ、ミドル、ローは音域の音量調整だと勘違いされている方をたまに見かける。これは音の性質を調整するためのもの。ローをいじることはあまりない。ほぼ0時か10時の間。ミドルツマミは音の近さを調整できる。10時方向に回せば聴いている側に対して音が遠くなり2時方向に回せば近くなる。ハイツマミは音の輪郭の性質を変化させる。10時方向に回せばどんどんぼやけたものに。2時方向に回せば明瞭になるが3時を超えた辺りからキンキンになるので注意。どのツマミも10時から2時の間の中で微妙な加減でもかなり変わる。ウクレレはトレブル域がそもそも強烈なのでアンプのハイ・イコライザーはむしろ完全に絞るところから0時の間で調節している。
ジャズに特化したウクレレを作るという方針は間違いだった。そうではなく、実のところはジャズウクレレのサウンド自体を見つけて行かなければならないことに最近気がついた。ウクレレジャズの定義は人によって異なる。でも私が思うそれが今まで聞いてきたうちにはなかった。
ないならば作るしかない。ウクレレという楽器と同時に表現したい音も。

…長々と失礼いたしました。製作中はこんなことばかり考えております。「そもそも生音段階でもう少し柔らかい音色に仕上げればアンプサウンドもふくよかになるんじゃないか」とか、「今週のカフェライブではあの曲を違うキーでAC60のトレブルのツマミをゼロにして弾こうか」などひたすらウクレレを作りながらやっぱりウクレレのことばかり考えているわけです。ジャズウクレレサウンドに対するお客さんの反応は概ね良好です。別にウクレレだからと言ってウクレレらしい音である必要はジャズにおいてはないようです。いや、もしかしたらジャズでなくてもそうかも知れません。ウクレレを全く知らないお客さんの方が圧倒的に多い。
つまり音の評価が最も純粋であると言えます。私はただウクレレを作るだけではなく、それを通してどんな音楽を作るかまでを一括りにしています。まだまだ先は長いようです。