手工ウクレレ

メーカーものと手工品。食器、釣竿、時計、家具、そして楽器。私達が愛用している身の回りの多種多様、あらゆるものにおいて大量生産品と手工一点物の両極が存在しています。手工品が何故、高額なものが多いのか。こんなテーマを大学のゼミで議論した記憶が遠い昔にありましたが、手工品を作る立場に立った今思い出してみるとそのときの結論は言葉足らずものだった気がします。「生産量が極端に少ないから高額になる。物自体の良し悪しは同じことが多い」そんな感じだったと思います。みなさんはどう思いますか。今まで一点物のウクレレを製作し、それを手にしたオーダー主様達の感想も踏まえて私は単に生産量の違いだけに起因するものではないと思うようにもなりました。
同じ樹種であっても一つずつ木材の個性があり、製作する側がその個性に沿って組み上げていくのとそうしないのでは引き出せるパワーも絶対に変わってきます。ネックの加工では一定程度の決めてある厚みや雲取型はあってもその先は私の手先が導いて行きます。弾き易い、心地よい音。製作者が全神経を尖らせて時間をかけ完成させる一点物。量産品と一点物の違いは決して生産量だけに起因したものではなく、そもそも別物で比較すること自体に意味を持たないようにも感じるようになりました。製作家が作る一点物はビジネスであるものの芸術でもあるからかも知れません。以前にも述べた通り、量産品には「当たり」を探す楽しさがあります。同じ木材から一定の基準に沿って大量生産することによります。
基本的に1.5ミリから1.7ミリの厚さの間で生産される量産品ウクレレのボディはとても軽く、より音量が出やすいような構造になっていますが合板にすることで剛性を持たせて丈夫さも確保している優れもの。それがコアやアカシアやマホガニーなどの製材過程で「美味しい部分」に当たれば音量だけではないメロウさを持った素晴らしい個体が出てくることがあり、やはりそれは店頭で手にしないと分かりません。つまり2万、3万の量産品ほど通販ではなく店頭で購入するべきだと思います。試しに御茶ノ水に行って同じ機種の量産品をいくつか弾き比べてみて下さい。全部違うはずです。そしてどれが好みかは人それぞれとも言えます。話を戻して製作家の一点物はどこが長所かと言えば、やはり完成度とバランスの良さだと思います。
量産品、一点物。そのどちらにも魅力があり、どちらを愛用してして行くのかはユーザー次第です。個人的には三つ葉楽器のフェイマス、単板で作られる上位機種のルナは大好物です。特にルナの3Mレプリカやディバイザーのナツコは素晴らしいと思います。マーティンに手が届かないからという理由ではなくルナ自体が欲しいと常々思っておりますが、それを嫁に話したらやはり返事はこうでした。




「自分で作れ」
(だよね^^;)