Western Red Ceder の魅力

米杉。何度も申し上げて参りましたが日本のいわゆる「杉」とは別物です。米杉、ウエスタンレッドシダーウッドはマツ目ヒノキ科ヒノキ亜科クロベ属。つまりヒノキです。これに対して日本の杉はマツ目ヒノキ科スギ亜科スギ属。日本にしかないものです。米杉は日本の樹木ではネズコに近いと言われています。日本最古の木造建築、1300年の歴史に立つ法隆寺はヒノキで建築されているのは有名です。日本書紀に宮殿寺社にはヒノキを使い、杉は船に使えと記されている通りヒノキの耐久性はとても高いものです。杉は割れやすいことから空手の板割りなどで使われるなど脆弱なイメージがあり、それが故かは別としても日本の楽器ユーザーの誤った定説として「杉は松の格下である」といったイメージがあります。
1960年代にスペインでホセ・ラミレス一派が表板にシダーウッドを用いたクラシックギターを製作して以来、柔らかく暖かみのあるシダーウッドの音色はスプルースとはまた違った味わいで世界中のギタリストを魅了して来ました。日本でもクラシックギターではシダーウッドに対する偏見は少ないように思います(というよりクラシックギター製作の本場がシダーウッドを多用しているから偏見がないのかも知れません)。ギターでもヨーロッパのギターメーカーの雄、ローデンがシダーウッドを多用するなどスプルースと並行して人気の高い材の一つです。ウクレレにおいてはまだまだ誤解と認知の低さに埋もれている感が拭えません。シダーウッドはスプルースと比べて低音が弱いですが反対に高音の伸びは勝るという特徴を持っています。
つまり音域の高い楽器であるウクレレにはとても相性が良いと言えます。スギ属ではなくヒノキ亜科クロベ属の材、米杉。特有の甘い香りはリラックス効果があり、ヒノキ風呂など日本でも古来より愛されている種目です。まだウクレレ界ではマイノリティーな表板ということを言い換えれば他に持っている人が少ないということでもあります。スタイル6Cは米杉トップ、インディアンローズのサイドバック。実際に弾いて頂いた方の中には気がつかれた人もいるかも知れませんが一見ただのワースBM弦が普通に張られているように見えて実は…。3弦だけ一回り太い弦を張っています。ネック厚を薄くし指板エッジを内側に削り取り、握りは薄いラウンドを感じます。そのネックに3弦を頂点とする低いトライアングルを指板上に展開させています。
これがこの6Cが弾いて何とも心地よいと感じるに至る仕掛けです。上記したシダーウッドトップのボディに立体感を持たせた弦のセッティングがこの6Cの魅力です。シダーウッドをウクレレに用いるということは純粋に甘い音に対する追求に他なりません。今年4月にまとめてオハナさんに納品した中で馬野さんが開口一番に6Cが一番良いと言ったのには実はこんな仕掛けがあり、それを見抜いたオハナオーナーの眼力には驚きました。岸和田に行けば現物を弾くことができますので是非一度、ご自身で体感してみて下さい。