変遷

専業製作家に転身することを決意したのは長女が生まれた年の秋でした。クロネコヤマトのセンター長業務はとても拘束時間が長く、平社員の頃たくさんあった製作時間も年を追うごとになくなっていました。そこに娘が生まれ、製作時間は皆無となりました。このままでは自分の本当にやりたかったことを見失う、そんな想いは日々募るばかり。しかし本気で会社を辞めて全く先の見えない楽器製作家を一からスタートさせるには相当の覚悟を要しました。半年間の準備期間を経て2013年初頭に工房を開くことになりました。その時点であったモデルは今は廃盤となったソプラノ、SKシリーズのみです。全国のどこにも自分のウクレレを置く予定の店などありませんでした。まっさらな工房の作業机を前にして何処へ向かって製作していくべきかを何度も考えました。
売ることも大切ですが1年目は一旦アマチュア時代の反省点と改善点を客観的に見つめ直すこと、ウクレレという楽器をセオリーに即してもう一度学び直すことから始めました。結果にこだわるのは2年目からで良い、そう言い聞かせながら。2013年の真冬に京都の西原ギターズの存在を知りました。自分と同時期に専業楽器製作家をスタートさせた青年がいることを知り、挨拶のメールを送りました。すると彼は「東京ハンドクラフトギターフェスに共同出展しませんか?」と誘ってくれました。まだ全くモデルがないに等しい状況でしたが挑戦することにしました。西原くんとはそのとき以来の付き合いです。「いつかリットーミュージックのギターマガジンやウクレレマガジンの製作家特集にお互い掲載される日を夢見て頑張ろう」と話したことを思い出します。

2年目に入り、ソプラノの設計を一から見直したスタイル4ソプラノを発表。ほぼ同時にアピラックとの共同開発によるスタイル4コンサートを発表。さらにコンサートロングサイズのスタイル8を発表。夏にはソプラノロングサイズのスタイル7、2015年にボディラインとジョイント位置を変えたコンサート、スタイル6を発表。最後に半年間の試行錯誤を経てウクレレを超えたテナーモデルのスタイル9を発表して今に至ります。今年3月には次女も誕生しました。また、昨年夏から「もっと深くウクレレを知る」ために毎週地元でライブを続けています。今年秋には吹田でジャズフェスに出演しますが、もっと多くのウクレレファンのみなさんと触れ合うチャンスです。一匹狼的な立ち位置でやって来ましたが、周りに流されずにこれからも独自の路線を進んで参りたいと思います。どうか暖かい目で見守ってやって下さい。