アスリート

楽器製作をずっとやっているとモンスターのような個体をまれに作り出すことがあります。楽器は弾き込めばどんどん鳴りが良くなるのは間違いありません。しかし完成した当初からまるで1920年代もののマーティンのようなヴィンテージサウンドを唸りだす個体が出来たりします。哀しいかな、そういった面は市場での価格とは関係ありません。私の場合はソプラノロングやコンサートのレギュラーモデルの中に得てして誕生し易い傾向があります。市場では概してサウンド面ではなく装飾の凝り具合や材の価値如何で値段の相場が決まっています。最終的にユーザーはサウンド面で選ぶことに間違いないにも関わらずです。しかしウクレレを選ぶ基準は前にも述べた通り十人十色、人それぞれです。装飾を重視して選ぶのも大いに選択肢として意義があると思います。
サウンド面だけとって見てもどんな音を最良と見るかですら人それぞれですね。例えば今、岸和田のオハナさんに置いてあるうちのウクレレ5台の中でオーナーの馬野さんが最も太鼓判を押して下さっているのがスタイル6C(ウクレレマガジン最新号のバイヤーズガイドに掲載して頂きました)ですがオハナの商品紹介動画をずっと担当している新納くんは全部弾いた上で「スタイル4Mアピラックモデルが最も良い」と言っておられます。では作った当の本人はどうかと言えば前から申し上げている通り、ダントツでスタイル7Mソプラノロングです。あの7Mはオハナさんの5台の中で一番安い14万円台。でも私の中ではずっと求めてきたマーティンヴィンテージサウンドを新品の状態から唸りだす個体そのもの。
むしろ今後の製作のハードルとして常に存在し続けています。ハードルと表現しましたが言い換えれば製作家人生の中におけるRecordです。100メートル走の最速記録のようなもの。その記録を超えることを目標にしています。そう考えると製作家もある意味アスリートなのかも知れませんね^_^