フレットとフレット溝の関係性

フレットは写真の通りタングと呼ばれるクサビが付いた部分がフレット溝に打ち込まれて行くようになっています。うちのウクレレのコンサートまでのフレットタング幅は0.45㎜、フレット溝の幅は0.50㎜です。フレットと溝の関係は指板に対して常に影響を与える要素となり、それはそのままネックの状態にまで影響します。フレットタング幅に対して余分に溝が広過ぎればフレット数の分だけ隙間が生じます。ネックは常に弦に引っ張られて起こされる方向に力がかけられているので、その隙間分だけ起き上がり易くなります。つまりこの場合、順反りし易くなります。反対にフレットタング幅に対して溝がキツ過ぎれば逆反り方向に力がかけられます。適切なフレットと溝の関係が重要です。
フレットと溝の関係性は指板材によって異なるので注意が必要です。エボニーや縞黒檀などの硬い材ならば若干の余分を見た溝を切る必要があり、ローズウッドなどの柔らかい材ならば若干キツいくらいになるように溝を切る必要があります。私の場合は指板をネックに接着した後にフレットを打ちますが接着前の段階でフレットを打つならば尚のこと上記のことに注意が必要となります。フレットを打って指板が波打つ状態になっては接着は困難となります。


冬場に起き易いフレットの浮きによるフレットエッジのバリ。これを抑えるためにフレットを打ち込む前に溝にタイトボンドを流し込んでいます。ギタールシアーではよくありますがウクレレビルダーの中でこの処置をしているのは珍しいかも知れません。ユーザーサイドに立てば嬉しい処置ですがビルダーサイドにとっては後々にフレット交換するときには半田ゴテで熱を加えながら抜く必要があるため面倒です。私の場合、この処置に加えて指板を横から見た側の溝の隙間にさらに同系色でパテ埋めをして完全に浮きが起きないような処置をしています。フレットの数が18ならエッジの数はその倍あるので実際かなり手間がかかります。見えない所で差が出る個人製作家の手工ウクレレ。小さな手間があらゆる工程に行き渡っています。