うくれれゆうさん

麗かな春のやわらかい陽射しが差し込む午前10時の作業机です。日中軽めの夏日になったと思えば朝は一桁まで落ち込んだり服装選びに難儀する季節ですね。春の木工は概ね午前中に行ってます。理由は湿度です。どんな季節でも同じことではありますが晴れ予報の場合、夜から朝にかけて湿度は上昇し太陽が昇って午後に向かって徐々に乾いていきます。春から新緑にかけてのこの時期は朝40%前後、正午に30%、午後3時ごろには20%台まで空っからに乾きます。日が落ちてしばらくしてからまた湿度は戻っていく、このパターンです。

 

丁度良い湿度は早めの午前中に限られるのでなるべくその時間帯のうちに接着作業などを行ってます。乾燥した午後にこれをやってしまうと普通のタイトボンドだとあっという間に硬化が始まってしまうので無駄に焦るんです。午後に接着作業をやる場合には4月5月でもピーカン晴れの日は加湿器MAXで行ってます。うちのような5畳半の工房はその点だけは狭さが有効的に働いて比較的早く加湿されます。本宅と同じ構造で気密性もしっかりした小屋なので適温適湿な環境を保持しやすいんです。

1.6mm~1.7mmの薄い板で構成するボディを正確に作り上げるには湿度を常に意識して良い状況で木工を進めることがとても大事なんです。薄い板でも一旦箱の形になると卵の殻のようなモノコック構造でしっかりと強度が保たれるようになるんです。強度があるからボディ上のフレット打ちも全然大丈夫。このフレット打ちも2パターンあって、指板だけの状態で事前にフレットを打ってから指板を貼る人と僕みたいに指板を貼ってからフレットを打つ人がいます。使う指板材、使うフレットのタイプが毎回同じでフレットのスリット(溝)も全部同じなら前者のやり方で問題ないと思うんですが僕は柔らかいローズ指板、中庸材のマッカーサーエボニー指板、硬くて重いカメルーンエボニー指板と3パターン使う上にモデルごとにタング(スリットに打ち込まれる部分)の幅も違うので後者のやり方を採用しています。同業者ならここまでの説明で理解して頂けるかと思いますがそうでない方のために説明を加えます。柔らかい指板材にはタングとスリット幅がほぼドンピシャで打ち込まないと抜けやすく、硬い指板材にはほんの少しだけマージンを取って打ち込まないとギュウギュウな状態になるので最悪の場合アーチ状に指板が撓みます。また、指板材そのものの状態がいつも柾目とも限らない。この材のここの木柄が面白いから板目材を使いたいなんて時もあって柾目材よりも管理はシビアになってきます。指板材だけの状態でも気難しい上にフレット打ち込めばさらに状態は変化する。撓んだりねじれやすいものを後から正確にネックに貼り付けるのはとても難しい。なので色々と失敗を重ねてきた結果自分は指板を貼ってから打ち込むパターンに落ち着きました。

そんな小難しい製作スキルのお話はさておきまして、28日金曜日はこちらのイベントを観覧しに行って参りました。うくれれゆうさんのミニライブです。この方を知ったきっかけはいつも仕事の時に流している岐阜FMの番組でした。インスタグラムでゆうさんをもっと知って、さらにうちの次女がそのオリジナルソングが大好きになりました。家族の日常やふるさとを情感あふれる透き通って芯のある声で歌い上げるゆうさん。夏の徹夜踊りで有名な郡上白鳥にこんな素敵なママさんウクレレシンガーがいたなんてこれまで知りませんでした。「28日夜7時、岐阜市マーサ21でゆうさんのミニライブ」と聴いてこれは次女と二人で行かねばと相成りました。

これは来てよかった。子育てにまつわる歌を聴きながら自然とうるっと…きちゃいました。全然思っていたのと違う子育て。でも君が大好きだ。生まれてくれてありがとう。

 

その他にもたくさん素敵な曲を演奏してくれました。ミニライブと言いつつ30分くらいあったかな。一部分ですが僕のインスタにその様子をアップしてあります。キロロのようなあったかい歌です。

心もお腹もいっぱいです。ありがとうゆうさん。

工房に帰って仕事再開。